教員情報
     


  モリ ナオヤ   mori naoya
  森 尚也
   所属   文学部 英語英米文学科
   職種   特任教授
言語種別 日本語
発行・発表の年月 2016/11
形態種別 著書
招待論文 招待あり
標題 「ベケットの『初恋』、あるいは声と存在の識閾の彼方」
執筆形態 単著
掲載誌名 『サミュエル・ベケットと批評の遠近法』
掲載区分国内
出版社・発行元 未知谷
巻・号・頁 358-378頁
総ページ数 524
担当範囲 第5章「テクストよ、語れ」
担当区分 責任著者
国際共著 国際共著
著者・共著者 井上善幸、近藤耕人編: ジョルジュ・バタイユ、モーリス・ブランショ、ブリュノ・クレマン、ルビー・コーン、堀真理子、メアリ・ブライデン、アンソニー・ウルマン、井上善幸、対馬美千子、アンジェラ・ムアジャーニ、ドゥルーズ/ガタリ、田尻芳樹、近藤耕人、ディルク・ファン・ヒュレ、西村和泉、S.E.ゴンタースキー、ジェイムズ・ノウルソン、岡室美奈子、ウルリカ・モード、森尚也
概要 『初恋』は1946年にベケットが創作言語を英語からフランス語に変えた時期に書かれた一連の作品のひとつである。言葉で表現できないものを追究してきたベケットだが、この作品では音を主題とし、聞き取れそうで聞き取れない声、やみそうでやまない叫びを描いた。ロゴス(言葉、理性)の反意語「アロゴス」は、ラテン語で「スルドゥス」(surdus)である。「スルドゥス」から「耳が聞こえない」や「沈黙」など意味を持つ英語の “surd”(無理数、無音の)が生まれたとすれば、ベケットは語の根源的な意味において"ab+surd"(不条理)を追究したのだった。沈黙を追究する過程においてベケットはダンテやライプニッツやジョイスをも意識しており、『初恋』はベケットの思想的精神遍歴の物語としても読めるのである。