教員情報
     


  モリ ナオヤ   mori naoya
  森 尚也
   所属   文学部 英語英米文学科
   職種   特任教授
言語種別 日本語
発行・発表の年月 2013/03
形態種別 翻訳書
査読 査読あり
標題 シェイン・ウェラー「どう見ても人間にゃ見えねえ」—ベケットと動物
執筆形態 単訳
掲載誌名 『ベケットを見る八つの方法』
概要 ケント大学のベケット研究者シェイン・ウェラーによるベケット文学における動物論を翻訳したもの。ウェラーは、人間を「政治的動物」と定義したアリストテレスから始め、動物とは魂や精神を欠いた機械・物質としたデカルトの論、「世界貧乏的」としたハイデガー、さらに動物は苦悩するかと問いかけたデリダにも言及する。興味深いのは20世紀のヴォルフガング・ケーラーの動物実験で、『類人猿の知恵試験』はベケットに影響を与えた。ケーラーはデカルトの動物機械論を否定し、実験観察を通してチンパンジーには知性のみならず洞察力もあることを認めた。チンパンジーが自分を抱きしめるとき、それは自分が相手にしてもらいたいことの表現だった。ベケットの戯曲『言葉なき行為I』で孤独な主人公がわが身を抱きしめるとき、それは他者による抱擁、関係なき関係としての抱擁を表現したものだった。ウェラーは結論として、ベケットの書簡を引いて、人間の内部に潜む「小さな動物」の声を描いたと結論する。
ISBN 978-4-89176-898-0